ディア・ファミリーは面白かったですか?

2_地獄の3か月

映画館に行く人ではない夫

映画の半券を見つけたのは、木曜日でした。

そもそも夫は、映画館に行ってまで映画を観る人ではありません。

私と一緒に映画を観たのも、結婚してから一度だけだったと思います。

しかも、その半券の映画は
「ディア・ファミリー」

家族愛をテーマにした邦画でした。
夫は、万が一映画を見るとしても、こういう作品は選びません。

だから私は最初、
「もしかして子どもたちのもの?」と思いました。


子どもたちではなかった

子どもたちはまだ学生でした。

もし映画を観るなら、学生料金で入るはずです。
それでも確認せずにはいられませんでした。

私は子どもたちに聞いてみました。
やはり、違いました。

誰も映画には行っていませんでした。
確認するのに、丸一日かかりました。

その日、夫は帰ってきませんでした。

出張と言っていたのですから、当然です。


深まる疑い

そうなると、疑問は一つでした。

誰と行ったのか。

出張と嘘をついてまで会う相手。

その相手は誰なのか。

考えれば考えるほど、疑いは深まっていきました。


宣戦布告なのではないか

そのうち、私はこんなことまで考えるようになりました。

これは、夫からの宣戦布告なのではないか。

わざと落としたのではないか。

出張と言っていたのに、映画の半券をリビングに落とすほど
夫は間抜けな人ではありません。

むしろ
「気付いてほしい」
と思って落としたのではないか。

そんな考えが頭から離れなくなりました。

それにしても不思議でした。

映画館は、この家から車で一時間半以上かかる
空港の近くにあります。

なぜ、そんな場所の映画館を利用したのか。
映画を観て、わざわざ家に戻ってきている。

考えれば考えるほど、謎ばかりでした。


私の一番の失敗

私は悩んだ末、夫に確認することにしました。

半券を見つけた翌日、金曜日。
夫は東京で仕事をしていました。

少なくとも、その日は本当に出張だったようです。

でも、今振り返ると
これが私の一番の失敗だったと思っています。

本当は、もっと泳がせて
証拠を集めるべきでした。
確実な証拠を整えてから攻めるべきでした。

それなのに私は、
夫に宣戦布告されたような気がしてしまい、
確認せずにはいられなかったのです。


その時の私の気持ち

正直に言うと、その時の私は

もし浮気をしていたとしても
謝ってくれたら許そう

と思っていました。

家族を捨てる勇気なんてないだろう。

そう思っていたからです。

私自身夫には強い愛情が残っていたわけでもなく、
嫉妬心もほとんどありませんでした。

ただ、

家族としての形は
このまま続けられるのではないか。

そんなふうに思っていました。


夫に送ったLINE

私は、夫にLINEを送りました。

「ディア・ファミリーは面白かったですか?」

そして、こう続けました。

「ディアファミリーを見る出張とは
どういうものでしょうか?」

しばらくして、夫から返信が来ました。

「土曜日に話しましょう」

たったそれだけでした。

次回

夫からの返事は、
たった一言。

「土曜日に話しましょう」

それだけ。

その言葉が意味するものを、
私はまだ理解していませんでした。

そして迎えた土曜日。

地獄の3か月闘争の火ぶたが切られることになります

次回

「土曜日の告白」