初めて訪れた義実家
結婚の挨拶をするため、初めて夫の実家を訪ねたときのこと。
義父母は△△郡の町はずれに住んでいた。
その家に向かう途中、夫が言った。
「うちは〇〇の家と違って、すごい狭いから覚悟しといて。平屋なんだわ」
さらにこんな話もしてくれた。
「俺が就職したころ、何も言わずに引っ越しされててさ。実家に帰ったら家がなかったことがあった。」
「母親に電話したら、“あれ言ってなかった?”って言われてさ。」
私は思わず言った。
「普通、そんな大事なこと報告するでしょ。」
夫は苦笑いしていた。
その時、私は少し驚いた。
家族の関係が、ずいぶん希薄だと感じたからだ。
そして実際に家に着いて、玄関を開けた瞬間。
タバコの匂いが、押し寄せてきた。
玄関先まで染みついていた。
案の定、居間(リビングなんて言えない)は新幹線の喫煙車なみのモクモクだった。
なるほど。
こういう家なのか。
私は正直、ものすごく苦手だと思った。
私の家族は誰もタバコを吸わなかったし、百害あって一利なしのタバコは
大嫌いだった。
それにしても、このあたりは田舎だ。
それなのに持ち家ではなく、借家だった。
そういうこと・・・か。
その後、子どもが生まれてからのこと。
私は、義実家のタバコが嫌で
子どもを連れて行きたくなかった。
でも一度だけ、どうしても避けられないことがあった。
親戚の法事があり、
その家に子どもを連れて行かざるを得なかったのだ。
当然義父母も一緒だ。
子どもは、畳の部屋で寝かせてもらい、私たち夫婦も待機していた。
義母が入ってきた。
まさか、違いますよね。
当たり前のようにタバコを取り出して火をつけた。
「え?ここで吸うの?」
私は心の中で叫んだ。心臓がバクバクした。
新生児がいる場でさえ、
お義母さんにとってタバコは当たり前のものだった。
でも、その場で何も言えなかった。
嫁という立場もあったし、夫も何も言わなかったからだ。
その時、ふと思った。
ああ、この人は
こういう環境で育ってきたんだな、と。
夫は子どもの頃、
夜も一人で過ごすことが多かったと聞いたことがある。
土曜の夜のドリフをいつも一人で見ていたと。
すごく怖かったんだと。
だからあなたは
人に甘えるのも、
愛情を表現するのも、
とても不器用だったのかもしれない。
そう思うと、
少しだけ、気の毒にも思えた。
義実家にはまだまだ違和感が沢山あった。
特に義母の行動は~。


