隠さない浮気の証拠|絶倫粉と合鍵が示していた違和感

2_地獄の3か月

GPSを仕掛けてから、数日間は順調だった。

夫が帰宅後、リュックから回収する。
充電する。
そして翌朝、また仕掛ける。

その繰り返し。

まるでルーティンのように、私はそれを続けていた。


並行して、他の証拠も集めていた。

まずは、夫のカーナビの履歴。

普通、不倫を疑われて問い詰められたのであれば、
真っ先に消しておくものだと思う。

でも、そこにはそのまま残っていた。

怪しい行き先、知らない住所。

いくつも、いくつも。

私はすべて写真に残した。

どれが女の住所なのかは分からない。
でも、この中のどれかであることは間違いない。

スマートフォンで住所を検索する。

——出てきたのは、都会の一等地。

新築の高級マンションだった。


次に、キーケース。

夫は普段、革のキーケースを使っている。

開いた瞬間、すぐに分かった。

見覚えのない鍵がひとつ。

我が家の鍵と並んで、当たり前のように付けられていた。

女の家の合鍵。

そう考えるのが自然だった。

それにしても——

なぜ、外さないのか。

なぜ、隠さないのか。

私には、まったく理解できなかった。


次は、クローゼット。

そこにあったのは、小さな瓶。

「絶倫粉 EMPERORあかひげ」

思わず、手が止まった。

こんなものを、
何事もないかのように置いておくのか。

どう考えても、おかしい。


前の週に問い詰められて、
頑なに否定していたはずの人間が、

まるで「見てください」と言わんばかりに
証拠を残している。

違和感しかなかった。

夫の行動は、どこか噛み合っていなかった。


そして、リビング。

そこには、豪華な旅行のパンフレットが並んでいた。

世界を巡るクルーズ。
ワンランク上のホテルに泊まる旅。

見た瞬間から、違和感があった。

夫に、こんな趣味はない。

仕事も忙しく、
世界をクルージングしている時間があるとも思えない。

以前、一度だけ聞いたことがある。

「このパンフ、なに?」

「行きたいからもらってきた」

「誰と?」

「ひとりで」

——そんなわけがない。

あのときは、心の中でそう思っただけだった。

でも、今は違う。

その隣にいる“誰か”の存在を、
私ははっきりと感じていた。


それにしても。

なぜ、こんなものを堂々とリビングに置けるのか。

やましい気持ちは、ないのか。


夫は、完全におかしくなっていた。