地獄の始まり➂気づいたら、夫はスピリチュアルにはまっていた

2_地獄の3か月

地獄の始まり③

気づいたら、夫はスピリチュアルにはまっていた


今思えば、あの頃からだったのかもしれない。

夫の様子が、少しずつおかしくなっていったのは。

当時、夫は会社の大きなプロジェクトに関わっていた。

毎日のように出張、深夜まで続く会議。
慣れない業務に追われ、心身ともに疲弊していた。

部下が次々と退職し、体調を崩す者もいた。
その責任を一人で背負い込んでいるようにも見えた。

顔色は悪く、酒の量は増え、
気づけばお腹だけがぽっこりと出た体型になっていた。

眠りも浅く、常に疲れている様子だった。

今ならわかる。

あのとき夫の中には、
確実に“隙”ができていた。


そんなある日、夫が言った。

「○○と俺が今生きてるのは、チャネリングの先生のおかげなんだ」

は?

一瞬、言っている意味がわからなかった。

「ゴールデンウィーク、越せないって言われたんだよ。だから遠隔シャワーを受けた」

遠隔シャワー?

聞き慣れない言葉に、思考が止まる。


「遠隔シャワーをやってもらってる時間さ、俺、外で散歩してたんだけど」

「足元に風が吹いたんだよね」

「すごいよ、あの先生。本物だわ」

夫は、どこか誇らしげだった。


「それって、遠くから何か…送るってこと?」

「そう」

「いくら払ったの?」

「3万。安いもんだよ。部下の分も出したし」


こいつ、正気か?


「命がもたないって、先生から直接言われたの?」

「いや、バーのママから電話があった」

バーのママ?

なぜ、その人が間に入るのか。

なぜ、その人が夫の連絡先を知っているのか。

疑問はあった。

でも、その違和感を
深く考えようとはしなかった。


今思えば、このときすでに

夫の中の“現実”は、
少しずつ別の方向へ向かっていたのかもしれない。


そして私はまだ、

その変化が、
この先どれほど大きな出来事につながるのか

まったく気づいていなかった。


次回予告

スピリチュアルと女の影