私は、はっきりと恐怖を感じていた。
異常なお金の使い方。
それはもう、小遣いの範囲を完全に超えている。
家計にまで侵食していた。
隠し口座のキャッシュカードは手に入れた。
それだけ聞けば、状況は少し好転したようにも思える。
でも——
本当にそうなのか。
私はふと、嫌な考えに行き着く。
この状態で、夫はあの口座から出金できるのか。
もしネットバンキングを使っているなら。
答えは簡単だ。
——できる。
あれは厄介だ。
通帳もカードも必要ない。
ログインさえできれば、どこからでも操作できる。
そして一番の問題は、家計の口座だった。
夫がネットバンキングを覚えたのは最近だ。
タイミングが良すぎる。
私は、あの女が教えたのではないかと思っている。
その結果どうなったか。
夫は、自分の親へも、
チャネリングの先生へも、
——「家計」から、自由に送金できるようになった。
私は家計の通帳もキャッシュカードも持っている。
それでも、何の意味もない。
ネットバンキングの前では、無力だ。
私がATMで引き出せる金額は、1日50万円まで。
どれだけ必要でも、50万円ずつ下ろすしかない。
でも——
ネットバンキングは違う。
上限さえ設定されていなければ、
100万円でも、500万円でも、
1,000万円でも、
一瞬で、別の口座へ移すことができる。
ボタンひとつで。
だからもし夫がその気になれば、
子どもたちの学資保険の満期金も、
これからの生活費も、
全部まとめて、
自分の口座や、女の口座に移すことができる。
私はその時、初めて理解した。
私たち家族の生活は、
夫の指先ひとつで、どうにでもできてしまう。
生殺与奪を握られている。
そんな言葉が、頭の中に浮かんだ。
急がねばならない。
夫が私たちの生活資金を使ってしまう前に。
早急に証拠を集めて早期決着をはからねばならない。
私と子供たちの生活を守るために。
私は強く思った。

