束の間の再構築

2_地獄の3か月

夫には確実に女がいる。
私はそう確信していた。

でも、夫は頑なに認めない。

あの日見つけた映画の半券。
それだけでは決定的な証拠にはならない。

それでも、私は分かっていた。

夫の気持ちは、もう家庭にはない。

そしてもう一つ、私にはどうしても許せないことがあった。

夫は言った。

「性格の不一致だから、いずれ別れたい」

性格の不一致。

それはこちらのセリフだ。
あなたの自己中ぶりにどれだけ振り回され
あなたの思いやりのなさにどれだけ傷つけられてきたか。

耐えてきたのは私の方だ。
それでも私たちは23年間、夫婦としてやってきた。

ぶつかりながら、なんとか続けてきた。

それなのに。

自分の不貞は認めない。
謝りもしない。

そのうえで
「性格の不一致」という理由で将来的には離婚したいと言う。

まるで、私に原因があるかのように。

それだけは、どうしても許せなかった。

自分の裏切りは隠したまま、
きれいな理由を並べて家庭を終わらせようとしている。

それは、あまりにも卑怯だと思った。

私は決めた。

絶対に尻尾をつかんでやる。

証拠を見つけて、真実を明らかにする。

そう心に決めた。

一方で夫は、こうも言った。

「子どもが大学を卒業するまでは、親としての責任がある。だからそれまでは別れるつもりはない」

そして、子どもたちには何も気づかれないようにすること。

家庭の空気を壊さないようにすること。

さらに、これからは家事にも協力すると言った。

朝の洗濯物干し。
ゴミ出し。
夜の犬の散歩。

今までほとんど私に任せきりだったことを、これからはやるという。

そしてもう一つ。

映画を一緒に観に行った相手とは、もう会わないということだった。

私はその言葉を聞きながら、静かに考えていた。

正直に言えば、信じていたわけではない。

でも、子どもたちのことを思えば、今ここで家庭を壊すわけにもいかなかった。

こうして私たちは一つの約束をした。

子どもたちが大学を卒業するまでは、夫婦を続けること。
その後のことは、その時に改めて話し合うこと。

いわば、期限付きの夫婦関係だった。

今振り返れば、それは再構築というよりも、
ただ嵐が過ぎるのを待つための、束の間の休戦だったのかもしれない。

このときの私はまだ知らなかった。

この静かな時間のあとに、
本当の修羅場が待っていることを。