夫の車の下に、わたしはもぐりこんだ

2_地獄の3か月

昨日は大失敗だった。

リュックに仕込むなんて、無理があったのだ。

昨晩の夫の鬼の形相が、頭から離れない。
できることなら、時を巻き戻したかった。

それでも、やめるという選択肢はなかった。


間一髪で奪われずに済んだGPSを、今度こそ絶対に見つからない場所に仕込まなければならない。

夫の車のラゲッジスペースを開けると、ゴルフバッグが入っていた。

ゴルフバッグの中はどうだろう?

いや、ダメだ。 荷物の中に入れるのはリュックと同じことになる。

ラゲッジスペースは意外にもガランとしていて、隠せそうな場所は見当たらなかった。

運転席と助手席のシートバックポケットはどうか。
実際に入れてみる。

メッシュの隙間からGPSが丸見えだった。

ここもダメだ。

ドアポケットも、車内のゴミ箱の中も、ちょっと覗かれたら一発でアウトだ。

次に見つかったら、もう終わりだ。
 万死に値する、とはこのことだ。 
絶対に、見つかってはならない。


そのとき、あることに気がついた。

車内は、車のカギがないと開けられない。

今は手元にスペアキーがある。 でも、それをいつまで持っていられるかはわからない。

室内に隠す案は、必然的に却下された。


となると、車の外しかない。

私が購入したGPSは、強力な磁石で車体に取り付けられる仕様になっていた。

車の下にしゃがみ込み、どこなら磁石が付くか、手探りで確かめていった。

バックパネルの金属部分に、バチンという音を立てて吸い付いた。

ここにしよう。

磁石だけでは心配で、私はビニールテープを取り出した。

車の下に仰向けに、まるで修理工のようにもぐりこみ、GPSの上からべったりと貼り付ける。

さすがにこれなら落ちないだろう。

私はいったい、何をやっているのだ。

こんな姿を近所の人に見られたら……と思うと、気が気じゃなかった。
でも、立ち止まっている時間はなかった。


車体の下にもぐって探されたら、一発で見つかる。

疑われたら、終わりなのだ。

それでも、やめることはできなかった。

私は賭けに出た。