昨日は大失敗だった。
リュックに仕込むなんて、無理があったのだ。
昨晩の夫の鬼の形相が、頭から離れない。
できることなら、時を巻き戻したかった。
それでも、やめるという選択肢はなかった。
間一髪で奪われずに済んだGPSを、今度こそ絶対に見つからない場所に仕込まなければならない。
夫の車のラゲッジスペースを開けると、ゴルフバッグが入っていた。
ゴルフバッグの中はどうだろう?
いや、ダメだ。 荷物の中に入れるのはリュックと同じことになる。
ラゲッジスペースは意外にもガランとしていて、隠せそうな場所は見当たらなかった。
運転席と助手席のシートバックポケットはどうか。
実際に入れてみる。
メッシュの隙間からGPSが丸見えだった。
ここもダメだ。
ドアポケットも、車内のゴミ箱の中も、ちょっと覗かれたら一発でアウトだ。
次に見つかったら、もう終わりだ。
万死に値する、とはこのことだ。
絶対に、見つかってはならない。
そのとき、あることに気がついた。
車内は、車のカギがないと開けられない。
今は手元にスペアキーがある。 でも、それをいつまで持っていられるかはわからない。
室内に隠す案は、必然的に却下された。
となると、車の外しかない。
私が購入したGPSは、強力な磁石で車体に取り付けられる仕様になっていた。
車の下にしゃがみ込み、どこなら磁石が付くか、手探りで確かめていった。
バックパネルの金属部分に、バチンという音を立てて吸い付いた。
ここにしよう。
磁石だけでは心配で、私はビニールテープを取り出した。
車の下に仰向けに、まるで修理工のようにもぐりこみ、GPSの上からべったりと貼り付ける。
さすがにこれなら落ちないだろう。
私はいったい、何をやっているのだ。
こんな姿を近所の人に見られたら……と思うと、気が気じゃなかった。
でも、立ち止まっている時間はなかった。
車体の下にもぐって探されたら、一発で見つかる。
疑われたら、終わりなのだ。
それでも、やめることはできなかった。
私は賭けに出た。


