「夫のトイレの使い方が、汚い」
「何度言っても直らない」
「トイレットペーパーがなくなっても、補充しない」
もし今、あなたが毎日そんな小さなストレスを抱えているなら——これは、かつての私の話だ。
一番嫌だったのは、浮気でもお酒でもなかった
23年の結婚生活で、私が一番嫌だったこと。
それは、浮気でもなかった。お酒でもなかった。
夫の、トイレの使い方だった。
便座は上げたら、上げっぱなし。
汚しても、汚しっぱなし。
トイレットペーパーがなくなっても、補充しない。
特に大のあとがひどかった。
なぜあんなに強い水勢で洗うのかと思うほどの勢いで、便座の裏やまわりまで飛び散っている。
それが、毎回だった。
便座に座ったら、落ちかけた
こんなこともあった。
夫が便座を上げっぱなしにしていたことに気づかず、私はそのまま座ってしまった。
便器に、落ちかけた。
ものすごく、不快だった。
何年も何年も、黙って掃除していた
不思議に思われるかもしれない。
なぜ、すぐに言わなかったのか、と。
私はかなり長い間、何も言わずに耐えていた。黙って掃除をしていた。
理由は、自分でもはっきりしている。
トイレの使い方なんて、大の大人に注意することではない。
人としての最低限のマナーであり、人としての根幹にかかわることだと思っていた。
だから、注意できずにいた。
今思えば——そういう人だと、認めたくなかったのかもしれない。
そんな基本的なことができない夫なのだと、私自身が認めたくなかったのだ。
とにかく口に出すのも嫌で、何年も何年も、誰にも言えず黙って掃除してきた。
半年に一度、私は「お手紙」を書いていた
トイレに限らず、夫の自分勝手な行動や言動に耐えかねて、だいたい半年に1回くらい、私がキレることがあった。
そのたびに私は、その時感じていた不満を箇条書きにして、「お手紙」に書き連ねた。
自分が傷つけられたことを、ひとつずつ。
私が作る料理を「手抜き料理」だと言われたこと。
料理番組を見て覚えた料理を、何時間もかけて作ったのに、「俺、そういうの好きじゃない」と言って、一口も食べずにカップ焼きそばを食べたこと。
▶この話は「結婚生活の違和感⑤」に書いている
トイレのことを、思い切って書いたこともある。
「トイレの使い方が汚い。汚してしまったら、自分で掃除してほしい。」
そして毎回、必ず書いていた言葉がある。
「あなたには、思いやりがない」
反応は、トイレのことに限った話ではないけれど、総じて反省して、「今後は気を付ける」と謝ってきた。
でも結局、同じことの繰り返しだった。
そしてそれは、23年間ついに直ることはなかった。
発狂した日
ある時、夫が使ったすぐあとに、そうとは知らず、私はトイレに入った。
ウォシュレットの水しぶきが便座や蓋にまで飛び散り、相変わらず便座の内側まで汚れ、そのうえきれいに流れ切ってもいない。
最悪の状態だった。
さすがに、発狂した。
その時はさすがに、夫も「ごめん、掃除するわ」と言って、自分で掃除したと記憶している。
でも、私の怒りは収まらなかった。
今までの不満も一緒に爆発した。
「毎回毎回トイレ汚して、いつも私が掃除してるの!! 2度と1階のトイレを使わないで。2階だけにして! 2階は私は絶対に掃除しないから! 自分でやって!!」
そう、強い言葉で言ったと思う。
それでも夫は、数日後には1階を使った
数日もたてば、夫は当たり前のように1階のトイレも使った。
そのたびに胸がざわついたが、毎回注意するわけにもいかず、私はまた黙って耐えた。
夫が1階のトイレに入るたびに、耳をふさぎたいくらいのストレスだった。
毎日、毎日、ヒリヒリしていた。
13年以上、2階のトイレに入っていない
あの日から、2階のトイレは私にとって「絶対に入れない場所」になった。
掃除も一切せず、放置した。
1階のトイレは、私が掃除した。
結婚生活23年のうち、おそらく13年以上、私は2階のトイレに入っていない。
どんな惨状なのか想像もしたくなく、怖くて入れなかった。
上の子ども2人は気にならないらしく使っていたが、末の娘は私と同じで、1階しか使わなかった。
離婚後、1階をリフォームしたときは、工事の間だけ、やむを得ず2階を使った。
でもその時も、普段から2階を使っている子どもたちに先に掃除をさせて、きれいな状態にしてからでないと、入れなかった。
今でも基本的に、2階のトイレは一切使わない。
年に1回の大掃除と、1年分の芯
2階のトイレ掃除は、年に1回、大掃除の時に夫にさせた。
トイレットペーパーの芯も、床に放置しっぱなしだったらしい。
45リットルのゴミ袋を持って、1年分の芯を片づけるところから始まっていた。
結局、家族の誰も補充しなかった
正直に書くと、子どもたちも夫に似たのだと思う。
トイレットペーパーがなくなっても、次の人のために誰も補充しない。
頼まない限り、誰も掃除しない。
基本的には、全部わたしがやっていた。
トイレ掃除は、夫の下の世話をしているのと、同じだった。
そのことだけで、夫のことが大嫌いだった。
あまりの無頓着さ。
自分の恥の部分を、人にさせて平気なところ。
こちらが嫌だと言っているのに、直さないところ。
本当に、嫌で嫌で仕方がなかった。
そして今でも、CMでトイレの映像が流れるだけで、私は不愉快になる。
一生、分かり合えないと気づいた
夫の実家に行ったとき、トイレが同じような状態だった。
「ああ、これだ。」
こういうのが当たり前の世界で育った人なのだ。
一生分かり合えないと気づいた。
夫を一言で表すなら「思いやりがない人」
トイレの話なんて、と思われるかもしれない。
でも私は、これはトイレの話ではないと思っている。
夫を一言で表すなら——思いやりがない人だった。
とにかく自己中心的で、自分勝手で。
23年間、私はずっとそう感じていた。
次に使う人のことを、何も考えていない。
挨拶やお礼が言えなかったことも、家のことに無関心だったことも、根っこは同じだったのだと思う。
私が絶対に譲れなかった、トイレの条件
2階を使ってくれと言っても、夫は平気で1階も使い続けた。
家を建てて10年ちょっと経ったころ、1階のトイレが壊れた。
便器ごと交換することになった。
こういうことの対応も、すべて私がやっていた。
▶のちに娘の部屋とお風呂場をリフォームしたときも、同じだった。その話は「結婚生活の違和感②」に書いている
だから、機種を選ぶのも私だった。
絶対に譲れない条件として、蓋の自動開閉機能がついたものを選んだ。
夫が便座を上げたまま出て行っても、自動で便座も蓋も下りてくれる。
蓋が開けっぱなしなのも、私にとってはストレスだった。
それに——上がりっぱなしの便座や蓋を、自分の手で触りたくなかった。
そして離婚後、1階のリビング・ダイニング・キッチンと、トイレをリフォームした。
前の交換から10年以上。
壊れてはいなかったが、思い切って便器ごと交換した。
選んだのは、タンクレスの、自動開閉機能付き。
開けっ放しの蓋に、もうストレスを感じないために。
今、あの役をやっているのは
今、私はあのストレスから解放された。
それだけで、本当に良かったと思う。
そして——今、あの役をやっているのは、おそらくあの女だろう。
そう思うと、少しだけ胸がすく。
同じことで、毎日ヒリヒリしているあなたへ
こんなことで、と思う必要はない。
毎日ヒリヒリするようなことは、小さなことではない。
その違和感は、無視しない方がいい。
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