離婚で弁護士に相談したら、世界が変わった。費用が不安なあなたへ、お金をかけずに相談する方法

離婚の手続きまとめ

夫の裏切りがわかってから、わたしは毎晩、スマホで同じ言葉を検索していました。

「離婚 弁護士 費用」 「熟年離婚 財産分与」

知りたかったのは、実際に弁護士に相談した人の体験談。

そして、弁護士費用が実際にどれくらいかかるのか、ということでした。

でも出てくるのは、大きな法律事務所の立派なホームページばかり。

わたしが知りたかった「本当のところ」は、どこにも書かれていませんでした。

不安だけが膨らんでいった頃のこと

夫とどう向き合えばいいのか。

家のことはどうなるのか。

子どもたちの生活は。

これからのお金は。

不安だけが頭の中をぐるぐる回って、夜もほとんど眠れませんでした。

ネットで情報をかき集めては、よけいに怖くなる。

そんな毎日でした。

先に弁護士のところへ行ったのは、夫だった

わたしは、同じように夫の不倫で離婚を経験した友人に相談しました。

その友人が教えてくれたのです。

会社に、弁護士に無料で相談できる制度があるよ、と。

弁護士に、無料で、3回まで相談できる制度。

わたしは、そんな制度があることすら知りませんでした。

でも、すぐに行けたわけではありません。

弁護士に相談するなんて、やっぱり大ごとに思えて、そこまで行く勇気も、きっかけも、なかなか持てずにいたのです。

わたしは夫にも、この制度があることを教えてあげました。

すると、離婚に前のめりだった夫は、その日のうちに電話をかけ、数日後には相談に行っていたのです。

不倫をした側ですから、不倫の悩みを相談したわけではありません。

「離婚するためには、どういう手続きが必要か」

「離婚には、協議離婚と、調停離婚、裁判離婚があり、約9割が協議離婚であること。その場合は公正証書を作成した方がよいこと」

そんな“ノウハウ”を、しっかり聞いてきていました。

制度を教えたのは、わたし。

なのに、先に弁護士に相談したのは、夫。

なんとも言えない気持ちでした。

人生で初めて、弁護士事務所に行った日

そんな夫を見て、わたしも腹を決めました。

自分が集めた証拠が「不倫の証拠」として認められるのか、

またその証拠によって、慰謝料をいくら請求できるのか、どうしても知りたかったから。

ただ、ここで初めて知ったことがあります。

夫と同じ弁護士には、相談できないのです。

夫婦のどちらかが先に相談した弁護士は、対立するもう一方からの相談は受けられない。

「利益相反」になるからだと、夫が相談した弁護士に言われました。

わたしは、別の弁護士事務所に予約を取りました。

人生で初めて行く、弁護士事務所。

職場からバスに乗って向かいました。

着いたのは、弁護士事務所ばかりが入った、いわゆる「弁護士ビル」。

そんなビルが存在することを初めて知りました。

事務所の中は、マンションの一室のような、こぢんまりとした空間でした。

女性の事務員さんが4人ほど、静かに働いています。

夫からは、自分が相談した弁護士について「横柄で、2度と相談したくない」と聞いていました。

だからわたしは、少し身構えていたのです。

でも、出てきてくださったのは、初老の、気さくな男性の先生でした。

想像していた「横柄な弁護士」とはまったく違う、話しやすい方で、ほっとしたのを今でも覚えています。

同じ“弁護士”でも、人によってこんなに違うのか、と思ったものです。

先生は、わたしの話を、最後まで静かに聞いてくれました。

そして、こう言ってくれたのです。

「それは、あなたが悪いわけではありませんよ。」

その一言で、張りつめていたものが、すっと緩んだのを覚えています。

いちばん聞きたかったこと。「この証拠は、認められますか」

わたしには、どうしても先生に聞きたいことがありました。

今、わたしの手元にある証拠が——「不倫の証拠」として認められるのかどうか。

慰謝料はいくら請求できるのか。

必死でかき集めたものを、先生に見てもらいました。

先生の答えは、こうでした。

「ひとつひとつは、決定的な証拠とまでは言えません。ただ、複数合わせれば……合わせ技一本、になりますよ」

決定打がないことは、自分でもうすうすわかっていました。

でも、集めたものを合わせれば、戦える。

専門家にそう言ってもらえた瞬間、目の前が少しだけ明るくなった気がしました。

慰謝料についても、教えてもらいました。

不倫の慰謝料は、婚姻期間等から通常200万~300万円ほど。

わたしの場合は500万円を請求して、落としどころは300万円——という見通しでした。

財産分与と、弁護士費用のことも聞きました

財産分与についても、このとき初めて「現実」を知りました。

不倫をした側でも、財産分与は原則2分の1であること。

学資保険や生命保険、家が、どう分けられるのか。

(このとき教わった内容は、別の記事にくわしくまとめています)

熟年離婚の財産分与、有責でも2分の1?学資保険・退職金・生命保険はどうなる?弁護士に聞いた現実

そして、弁護士費用がどうやって決まるのかも、聞きました。

弁護士に依頼するときのお金は、大きく分けてふたつあるそうです。

・着手金……依頼するとき、最初に払うお金。結果がどうなっても、戻ってきません。

・報酬金……実際にお金を獲得できたときに、その金額に応じて払うお金。

その事務所は、「旧日本弁護士連合会報酬基準」という、かつて弁護士全体で使われていた共通の基準を参考にしているとのことでした。

(この基準は今は廃止されていて、費用は事務所ごとに自由に決められます。ただ、今もこの基準を参考にしている事務所は多いそうです)

例えば、慰謝料300万円を請求する場合。

着手金は、請求額の8%。

300万円×8%=24万円(これに消費税がつきます)

報酬金は、実際に獲得した金額の16%(獲得額が300万円以下の場合)。

例えば300万円を獲得できたら、

300万円×16%=48万円

消費税10%を加えて、約52万8千円。

つまり——300万円の慰謝料が取れたとしても、

着手金と報酬金を合わせて、約80万円が弁護士費用として出ていく計算です。

獲得したお金の、およそ4分の1。

正直、ずいぶん高いなと思いました。

しかも裁判までいけば、さらに時間もお金もかかります。

できれば、協議離婚でおさめたい。

このとき、心からそう思いました。

ちなみに、相談だけなら「30分5千円ほど」が一般的な相場だそうです。

わたしは会社の制度のおかげで、この相談料すらかかりませんでした。

(※金額は、わたしが当時聞いた一例です。事務所や案件の内容によって変わりますので、目安として読んでください)

それでも。

「いくらかかるか、まったく見当もつかない」という漠然とした恐怖が、

「だいたいこういう仕組みで決まるんだ」という具体的な話に変わりました。

「分からない」が消えることは、心を軽くしてくれました。

何が、いちばん変わったか

弁護士に相談して、いちばん変わったこと。

それは、「プロが伴走してくれる」という安心感を得たことでした。

証拠のこと、慰謝料のこと、財産分与のこと、費用のこと。

知らなかった現実を、たくさん教えてもらいました。

離婚の話し合いは、これからが本番です。

でも、もう一人で手探りで進まなくていい。

法律のプロが、隣にいてくれる。

その安心感が、あの日々のわたしを支えてくれました。

ひとつだけ、正直に書いておきたいこと

あの先生は、わたしの話を本当に一生懸命、聞いてくださいました。

今でも感謝しています。

ただ——離婚を専門にしている弁護士では、ありませんでした。

弁護士にも、お医者さんと同じように「得意分野」があります。

そのことを、当時のわたしは知らなかったのです。

もし今、あの頃のわたしに声をかけられるなら、こう伝えると思います。

「できれば、離婚にくわしい弁護士さんを探してみて」

「お金が不安で相談できない」というあなたへ

ここまで読んで、

「でも、相談にはお金がかかるんでしょう?」

と思った方も多いと思います。

当時のわたしも、まさにそうでした。

でも今振り返ると、お金をあまりかけずに相談できる方法は、思っていたよりもあります。

わたしが知っておけばよかったと思う順番で、ご紹介します。

① まず、お勤め先に「法律相談の制度」がないか確認する

会社や、加入している共済・保険などに、無料で弁護士に相談できる制度がついていることがあります。

わたし自身、友人に教えてもらうまで、自分がこの制度を使えることをまったく知りませんでした。

意外と知られていませんが、まずここを確認してみてください。

ご自身が使えなくても、ご家族の勤め先の制度が使えることもあります。

② お住まいの市区町村の「無料法律相談」

多くの自治体が、月に数回、無料の法律相談を開いています。

「(お住まいの市の名前) 無料法律相談」で検索してみてください。

予約制のところが多いので、早めの確認がおすすめです。

③ 法テラス(日本司法支援センター)

国が作った、法律のための公的な窓口です。

収入などの条件に当てはまれば、無料で相談できたり、弁護士費用を立て替えてもらえる制度があります。

「法テラス 離婚」で調べると、案内が出てきます。

④ 弁護士の「無料相談」や、離婚にくわしい弁護士を探せるサービス

最近は、初回の相談を無料にしている弁護士事務所も増えました。

また、わたしのように「たまたま出会えた先生」に相談するのではなく、最初から自分の状況に合った、離婚にくわしい弁護士を探せる紹介サービスもあります。

※わたし自身は①の制度で相談できたので、こうしたサービスを使ったわけではありません。

ただ、「身近に相談できる制度がない」「どの弁護士に頼めばいいか分からない」という方には、こうした探し方もあるということを、知っておいてほしいと思います。

一人で抱えないでほしい

あのとき、もっと早く弁護士に相談していれば。

そう思うことが、今でもあります。

弁護士に相談することは、けっして「大ごと」ではありませんでした。

むしろ、自分と子どもを守るための、当たり前の一歩だったのだと、今は思います。

もし今、かつてのわたしと同じように、暗いトンネルの中にいる方がいたら。

どうか、一人で抱えこまないでください。

出口は、ちゃんとあります。


あわせて読みたい